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深圳:リアルタイムで進化する未来

執筆者: ベルナルド・フエルテス

目もくらむような超高層ビルから、ギャラリーへと生まれ変わった工場まで。深圳には、歴史上でも類を見ないスピードで進んだ都市変貌の姿があります。若く、テクノロジーとクリエイティビティに満ちたこの都市は、これからの都市のあり方をひと足先に映し出しています。

 

深圳は、「未来」がすでに日常の風景になっている都市です。わずか40年ほどの間に、かつての漁村は「中国のシリコンバレー」と呼ばれる大都市へと変貌しました。未来的な建築、クリエイティブな街区、そして世界でも屈指の活気を誇るテクノロジー産業が共存する、巨大な都市の実験場でもあります。

超高層ビル、現代アート、活気あふれるストリートマーケット。そのすべてが混在する深圳には、世界の都市史においても類を見ない、急速な変貌の軌跡が刻まれています。

深セン
深圳ユニバーシアード・スポーツセンター・スタジアムは、ドイツの建築事務所gmp Architektenが設計し、2011年のユニバーシアード開催に向けて建設されました。約6万人を収容できます。
1998年の深セン。
1998年の福田。当時、新たな都心の建設はまだ始まったばかりでした。わずか数十年の間に、この郊外の土地は、中国でも有数の近代的な行政・金融の中心地へと変貌しました。写真:ワンホンリュー。
今日の深セン。
福田のシビック・アクシス(都市軸)。市庁舎を中心に、美術館、図書館、文化施設などが集まり、その周囲には金融街の高層ビル群が広がっています。なかでもひときわ高くそびえるのが、平安金融中心(Ping An Finance Centre)です。写真:ロバート・バイ。

未来都市という印象の強い深圳ですが、その素顔は街を歩くことで見えてきます。市内でも特に歴史のある商業地区のひとつ「東門」には、活気あふれる歩行者天国や昔ながらの小さな商店、現代的なカフェが混在しています。急速に進化を続けながらも、庶民的な街の風景を失わない。光と市場、人々の日常、そしてますます活気を増すナイトライフが交差する東門は、若い大都市・深圳が持つコントラストをよく映し出しています。

深圳の多様性は、食文化にも表れています。独自の食文化を長い時間をかけて育んできた中国の他の都市とは異なり、「深圳料理」と呼べる固有の料理はありません。都市そのものが若く、食の世界もまた、中国各地から集まった味のモザイクとして形成されてきたからです。市場や屋台には、広東料理、北方の麺料理、点心、四川の辛い料理などが並びます。それは、中国全土から移り住んだ何百万人もの人々によってつくられた深圳という都市を、そのまま映し出すような光景です。

そして、この都市のエネルギーは、さらに大きな地域のダイナミズムの中に位置づけられます。深圳は、香港、マカオ、中国南部の9都市を結ぶ巨大都市圏「粤港澳大湾区(グレーター・ベイ・エリア)」の一角を担っています。人口7000万人を超えるこの経済圏は、世界でも特に成長力のある地域のひとつです。その中核を担う深圳は、21世紀の都市の未来を先取りする「都市の実験場」として、今なお進化を続けています。

深セン
深セン

深圳は、いくつもの異なるスピードで変化を続ける都市です。市内で最も高い超高層ビル「平安金融中心(Ping An Finance Centre)」から見渡せば、どこまでも広がっていくかのような大都市の姿が眼下に広がります。地上500メートルを超える展望台「Free Sky」に立つと、この都市が遂げてきた変貌のスケールを実感できます。果てしなく延びる大通り、林立するガラス張りの高層ビル。そして空気の澄んだ日には、地平線の向こうに香港のシルエットまで望むことができます。

しかし、そんな未来都市としての深圳と隣り合わせに、もっと日常的な街の姿もあります。市内でも特に歴史のある商業地区のひとつ「東門」では、歩行者天国に小さな商店やレストラン、現代的なカフェが軒を連ねています。ネオンやショーウインドーの光が行き交うなか、昔ながらの都市文化と現代的な消費文化、そして活気を増すナイトライフが混ざり合い、若い都市・深圳ならではのコントラストを生み出しています。

文化への積極的な投資も、深圳の新しい都市景観を形づくっています。2020年に開館した「光明文化芸術センター(Guangming Culture and Art Center)」は、ドイツの建築事務所gmp Architektenが設計した複合文化施設です。図書館、展示スペース、舞台芸術のための施設などがひとつに集約され、その現代的な建築は、深圳が文化都市として抱く新たな野心を象徴しています。長らく中国南部を代表するテクノロジー都市として知られてきた深圳ですが、現在ではアートやクリエイティブ分野のための新しい場所も次々と生まれています。

現代性とノスタルジーの交錯は、「文和友(Wenheyou)」にも見ることができます。ネオンに照らされた路地には1980年代の中国都市部の風景が再現され、どこかサイバーパンクの世界を思わせる独特の空間が広がっています。レストランやバー、ショップが集まるこの複合施設は、深圳でも人気の高いカルチャースポットのひとつです。未来へ向かって走り続けながら、自らの過去を新しい視点で読み替えていく深圳。その姿を象徴する場所ともいえます。

超高層ビル、文化施設、そして昔ながらの商業地区。その間を行き来することで見えてくるのは、絶えず姿を変え続ける深圳という都市です。未来的な建築、現代文化、人々の日常が同時進行で重なり合うこの街は、世界でも類を見ないスピードで変貌を続ける「都市の実験場」なのです。

崗廈北駅(Gangxia North)は、「深圳之眼(Shenzhen Eye)」の名でも知られる深圳を代表する地下鉄駅のひとつです。福田の金融街に位置し、複数の地下鉄路線が交わる大規模な交通拠点となっています。ガラスとスチールで構成された巨大な円形の天井から自然光が地下空間へと降り注ぎ、未来的な建築、交通機能、商業空間をひとつの都市施設として融合させています。写真:チェンユー・ルオ。

深センの地下鉄駅「崗下北」。
崗廈北駅――深圳の地下鉄を象徴する未来的な空間。
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  • OCT Loftでは、現代アートが中庭や緑豊かな空間に溶け込んでいます。
  • インスタレーションや彫刻、ストリートアートがエリアの随所を彩ります。
  • かつての工場群は、現在では深圳でも特に活気あるカルチャースポットのひとつへと生まれ変わりました。
  • 深圳には固有の伝統料理はありませんが、中国各地の食文化が集まり、融合しています。
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